SPECIAL
インタビュー
【第3部】café TATI sweets店主 村井修二さんのインタビュー「café TATI sweets編」
オノズカラシカルのスペシャルインタビューコーナー『イトウヒトガタリ』では伊東市や伊豆で働いてる、活動しているなどのおもしろいヒトを紹介していきます。おもしろいというのはただ単にFUNNYというわけではなく、自分の人生を楽しく、面白く生きてるヒト、元気に生きてるヒト。
このようなヒトに突撃インタビューをして語ってもらっちゃおう!というコーナーです(アポはとります)
今回は前回の続きとして【第3部】café TATI sweets店主 村井修二さんのインタビュー「café TATI sweets編」。
村井さんが、とてもたくさんの良いお話をしてくれたので全4部作?として連載にして余すところなくお届けしてます。
まだ【第1部】【第2部】を読んでないヒトは、ぜひお読みください。
【第1部】café TATI sweets店主 村井修二さんインタビュー「学生・就職・東京編」
【第2部】café TATI sweets店主 村井修二さんインタビュー「フランス・帰国・帰郷編」
前回までのおさらいをしておくと、村井さんはあがり症でしたが、ヒトを楽しませるのが好きで学生時代のバイトを通じて飲食の世界へ。そして伊東市内にあるリゾートホテルに就職。そこで師匠と呼べるヒトに出会い、飲食のサービスとしての面白さに開眼していきます。そのまま伊東で過ごしていくのかと思いきや、その道を追求するべく数年後には、東京銀座にあるフランスレストラン、マキシム・ド・パリ(現在は閉店)へ。さらにはフランスでの研修をきっかけに本場で学びたいという思いから、フランスへ修行へ。フランスでは大変な思いもたくさんしたということですが、そういった経験からたくさんのエッセンスを受けて帰国。東京の店に戻り、その後伊東へと帰郷を果たしました。フランスや東京での経験を元に伊東で活躍する村井さん。そしてついにcafé TATI sweetsをオープンさせることになります。
ここから今回の話に入って行きます。café TATI sweetsは一体どのようにして出来たのか。オープン前夜からcafé TATI sweetsを営む上での想いや理想などを語っていただきました。
それでは、【第3部】café TATI sweets店主 村井修二さんのインタビュー「café TATI sweets編」をどうぞお楽しみください。
café TATI sweets前夜
インタビュアー:第二部の所から少し話が遡るのですが、東京から伊東に戻って来た時にはまだ独立とかは考えてなかったんですか?
全然考えてなかったですね。実は一碧湖ホテルで働くようになった時にすでに妻がパティシェとして働いていて、そこで出会ってから付き合うようになって。それで当時、伊東には自分たちが行きたい店がまだなかったんですよね。だからこんな店があったらいいねとか二人で話をしていて、パティシェの妻とサービスの私がやってきてできること、みたいな感じでカフェだったんですよ。スイーツに特化したカフェみたいな。
私はワインとかに特化をして、妻は・スイーツを作って、料理は作る人がいないのでおつまみとかはなんとなく作って、スイーツに特化しながらも軽く飲めたりとか、大人のカフェをやりたいっていう。それで自分たちが一番行きたい店を作ったっていうのが、もともとのcafé TATIの始まりですね。
インタビュアー:村井さんも奥さんも二人ともお店をできたらいいねという想いだったということですよね?
そうですね。一碧湖ホテルにも5年くらい居たんですけども、それで独立かなって。そこから準備期間が一年ないくらいで、前の店舗の場所を見つけて、元々(そこが)携帯屋さんか何かだったところでがらんどうになっていたので、そこを借りてやることにしたんです。それが2003年です。結婚したのが1999年とかだったので子供はまだ生まれてない時ですね。
インタビュアー:お店を出すことに不安はなかったですか?
不安はありましたね。妻はちゃんと計画をたてる人なんですけど、私は割と勢いのイノシシ年の感じなので(笑)猪突猛進サービスなので、もうやりたいと思ったらやっていくっていう。
でもそれでバランスをとってくれてるのが妻で、アイデアとかやりたいこととかの気持ちは私が言って。私が好きなものを並べたらマイワールドになりすぎちゃって収集がつかなくなっちゃうので、その辺は妻が後ろ首掴んでうまくひいてくれてる感じですね(笑)
インタビュアー:良いバランスなんですね。でも、まったく違う感じの二人で喧嘩にはならないですか?
喧嘩にはならないですね。妻が大人なので。私がけっこうカッとなってしまうので、そうしたらその時に聞き入れられないことをわかってくれてるんですよね。だから自分で気づかないと駄目だからっていうように待ってくれたりとかってしてくれるので、その辺はすごく感謝してますね。
でも私はその中で好き勝手やってないと、活かされてこないというのはみんなわかってくれてるので。その中で私はフリースタイルのままでも行き過ぎないようにというか、妻に見られてるなと思うとそれ以上はやっちゃいけないんだっていう感じで上手くいってるというか(笑)
インタビュアー:息の合った連携プレーなんですね!お店は東京など都会でやろうとは思わなかったんですか?
そうですね。伊東を盛り上げたいというわけではなく、自分が行きたいっていうお店を(伊東で)やりたくて、自分たちのスキルがいかされるならすごく楽しいことかもって思っていたので。
今では東京にもあるんですけど、当時2003年頃スイーツに特化したカフェだとか、お酒の飲めるカフェというのはまだあまりないスタイルだったので、これはおもしろいかもって。でも全員が全員おもしろいって思う内容ではないと思っていたので、一部の人にでも長く愛されたいと思うようなスタンスでしたね。
ファミレスに3.4回行くのを、1回うちの店に来てくれたらいいかなみたいな感覚で始めて。
インタビュアー:価格帯はちょっと高めだと思うんですけど、それは最初からそのスタンスだったんですか?値段を高めに設定することに対しては不安はありませんでしたか?
不安はありましたね。でもやっぱり安売りだけはしたくないって今でも思ってるので。それでも合わせてるっていうのは自分たちではあるというか、本当は伊東でケーキ一個に500円以上出すっていうのは、ちょっとやっぱり高く感じてしまうと思うんですよね。だから、ギリギリの出し方を考えてみたりとか。
栗のタルトもすごい手間がかかってるので、本当は550円とか600円とか欲しいんですけども、ちょっとポーションを小さくして、食べやすいサイズにするとかってことで価格を抑えたりっていうことはちゃんとするようにはしてます。
大切にしてる想いと理想
インタビュアー:なるほど。お店の方向性というか、お店をやっていく中で村井さんが大切にしている想いなどあるんですか?
昔、西小学校の方にオーシャンフロントハウスっていう我々世代にすごく大人なおしゃれなカフェがあったんですよ。お酒も出してて。
そのお店に学生の時に何度か連れてってもらったりとかしたことがあったんですよね。ディスコ時代の知り合いだとか、地元の友達とか、私は同世代よりも、大人と呼べるような上の人との関わりが多かったので。
でもやっぱり高校生には入りづらいんですよね。大人になったら行きたい店っていうか、(前回の二部の話でもあるように)私の原点はそこでもあったんですよね。子供たちがそういう気持ちになるようなお店があればっていう。
実は今この店でも、子供同士の入店はお断りしてるんですよ。大人と一緒に子供が来るのはぜんぜん構わないんですけど、例えば高校生とかが制服できたりとか、中学生とかが小遣いをもらってきたとしても、ごめんなさい、お子様だけのご入店はご遠慮願いますって。
まあ高校出たらみたいな感覚ではいるんですけど、大人になったら行きたい店にしたいっていうか。伊東ではそういうところはすごい特殊なものになってしまうので、今でもわかってもらいにくいところではあるんですけど、でもそれだけは守りたいって私は思ってますね。(その想いがうまく伝わらなくて)結構誤解を招いてる部分もあるようなんですが。
ちゃんとマナーがあってとか、こういうところでは大人になろうっていう感じですね。伊東の若い子たちを育てたいというか、そういう気持ちをもたせたい。
大声を出すとか、周りの迷惑を考えないで騒いでしまうというのはマナーとしてよくないよっていう感じのものを勉強したりだとか、そういう社会があるんだよっていうのを知ってもらいたいっていう、そういう想いがあるんです。遠回しではあるんですけどね。
私は子供でも子供扱いはしたくないんですよね。ちゃんとしたお客様として大人のように接したいと思っていて。前の店だったんですけどカウンターで高校生が目の前でお酒を頼もうとしたので、「お客様、学生さんですよね?申し訳ありません。学生の方にはお酒を出すことはできないので」と言って。それまではなんとなくでしてたんですけど、それからは、ああこれはちゃんとしなきゃ駄目なんだって思いましたね。
親御さんといるのは良いんですけど、お酒を飲むところに学生さんだけがいるっていうのも、よくないなって思って、そこからはきっぱりとお断りしてますね。自分の整合性をとってるくらいな感覚になってしまうかもしれないんですけども。一個一個そういうことに向き合っていくことが自分を意固地にしていく部分ではあると思うんですけど(笑)
でも方向性が決まっていくというか、基本的にはなんでもありなんですけども、人の楽しんでるところを邪魔したらいけないっていうのがマナーの一つなので。最終的にはその方が子供にとってもいいんじゃないかって思うので。自分ができることでっていうことでそういう感じでやってますね。
やっぱりレストランとかでは17歳以下では入っちゃいけませんよとか、マキシムだとネクタイ&ジャケット着用とかっていうのがあったので。ここはそういう店ではないので、そこまで縛るつもりはありませんけど、それくらいは私としてはちょっとやりたいかなっていう。ささやかな、やるぞー!みたいな(笑)
お店をやっていて楽しいこと
インタビュアー:マキシムやフランスで感じた想いも大切にされているんですね。自分でお店をやっていて、一番楽しいことってなんですか?
自分の店なので、思ったことが形にできたり、思いついたらやっちゃえとか、今日良い何かが入りましたって言ったらすぐメニューに出せるので小回りが効くんですよね。今は何かをすぐにできるというのが自分の店では一番楽しいですね。
大きな会社でも働いていたので、そういうところでは何かをしようかといってもなかなかすぐにはできない。シェフとかだと違うかもしれないんですけど、これが今出てたら良いのにって思っても稟議書を書いてとか(笑)そういうのをやってたら良いものもなくなってしまうので。
なんかもうダジャレの一つでも思いついたら、それをメニューにしていくとか(笑)今のメニューなんかもいい名前が出ないまま、とりあえずモノができたからイッちゃえみたいな。それがホットポリフェノールっていう名前だったりとか。名前は全然イケてないですけど(笑)
でも格好良くなりすぎても格好いいのが逆にダサいっていう時もあるじゃないですか?格好つけちゃうというか。だからもうダサいならダサいままでいいかっていうノリで、わかりやすくホットポリフェノールってしたんです。
これもブルーベリーのノンアルコールジュースなんですね。寒くなるとホットワインってやるんですけども、私があまりお酒を飲めないので、ホットワインよりも温かいサングリアみたいな感覚で作るんですよ。それでちょっと自分なりのスパイスとかを入れてやるんですけど。
まあだいたいその時の思いつきで作るんで。微妙に出すたびに味が変わったりだとか(笑)
インタビュアー:なるほど。お客様からすると、その時その時のcafé TATIを楽しめるということですね!
ちなみに私は以前、起業支援の仕事に就いていたのですが、その頃のお客様の中にはお店を開店させることを目的にして、オープンしたら気持ちが続かないという人がいたりしました。村井さんはなんでそういつも熱いというか(笑)、飽きてしまうことなどはないんですか?
(笑)逆にそれは飽き性だからなんですよね。飽き性だからこそ、日々違うことをしないと自分が飽きてしまうので。
次の違う何かを探したりだとか、それが必ずしも飲食だけじゃなくて、絵画を見て(そこにインスピレーションを受けて)何かを取り入れたりとか、偉そうですがそういう感じもあったり。
メキシコのプロレスが好きで、ちょっとマリアッチ風なものができないかとか、そういう関係のものがないかとかいろいろ考えたり。ミックスでっていうか。そんな感じですよね。
新しいものを欲していっても限りがないので、今あるもので今までにないものを作るとか。
美味しいものって出尽くしてるっていうふうに思ってる感もあるんですよね。っていうことは美味しいものと美味しいものを掛けて、ハイブリッドみたいなもので今までにない感じのものを表現していくしかないんじゃないかって思ってるんですね。
そんなふうに思ってる時にサバソニがあったりして、サバとかアジっていうとそんなすごい特徴があるわけでもないし、もともと近くにあると良いものも慣れてしまうというか。日本全国どこでも取れるしみたいな感覚もあるので、それをいかにどう表現するかっていうところを思い返すいい機会になりましたね。
サバソニは正式にはサバーソニック&アジロックフェスティバル。伊豆のうまい魚を味わいながら楽しめるイベントとして、去年と一昨年の6月に開催され、一躍伊東の人気イベントに。詳しく知りたい方は下記URLからサバーソニック&アジロックフェスティバル公式サイトをご覧ください。
サバーソニック&アジロックフェスティバル
インタビュアー:村井さんの中ではいろんなことに興味があるということが無駄になってない感じなんですね?
そうですね。だから最後はぜんぶ何かに向けていくとか。反作用があったとしてもそれは反面教師だったりと思うようにしてるので。嫌なことはしなきゃいいだけですし。
インタビュアー:そう思うようになったのはお店を始めてからですか?それとも自然と?
自然とですかね。やっぱり人、先輩や後輩に恵まれてたと自分では思ってるので。それで会う人にいろいろ教えてもらうというか、いい例もあったり、もちろん駄目な例もあったり(笑)痛い目にもあったり(笑)
そんな中で自分にしかできないことってなんだろうって思ったことが今の形になってるっていう感じですかね。
café TATIの由来
インタビュアー:話が少し変わりますが、店名は映画監督のジャック・タチが由来なんですよね?ジャック・タチの村井さん的魅力や出逢いは何ですか?
そうですね。やっぱりヤラれた感なんですよね。友達に紹介されて初めて東京の六本木の単館系の映画館に見に行ったんですけど、そしたらなんだこれっておもったんですね。
10年に1回ジャック・タチのブームみたいなのが来るんですよ。それで、私が知ってからの初めてのブームのときに連れていかれて、実はそのときもほのぼのしすぎて寝ちゃってるんですよ(笑)でも面白かったっていうのがあって、なんかヤラれちゃったって。
自分の思ったことと違った結果が感動を生むと思ってるので、だからこれくらいの感じかなって甘く見てたものが、ドン!って違ったていう。さらに見るたびに面白さっていうのが変わっていくんですね自分の中で。日常を切って、でも角度を違うふうにみるといろいろあるんだよっていうことを発信してる人だったので。それがいろんな文献なんかを見ていくと計算されて映画を作ってるっていうのを知って、「あっすごいなっ」って思って、それで好きになって。
店を始める準備段階のときにケーキの予約販売をしていたことがあるんですが、その頃はまだ店舗がなかったので、その時に村井ってつけるよりも、じゃあ好きだったタチを名前につけてパティスリータチっていうのを仮の名前でつけてやったんですね。それが想いの外ひろがって、それで実店舗を持つときに、そのままタチでいこうかって言って、そのときはパティスリーでやってたんですけど、今度はカフェでいくので、カフェタチで始めたんですね。だから私がタチさんでもなんでもないっていうことなんですけど(笑)
第3部 完
次回いよいよ完結!?【第4部】café TATI sweets店主 村井修二さんのインタビュー「完結編 and more…」へ続く(現在作成中)
まだ第1部を読んでないヒトは、ぜひお読みください。
【第1部】café TATI sweets店主 村井修二さんインタビュー「学生・就職・東京編」
【第2部】café TATI sweets店主 村井修二さんインタビュー「フランス・帰国・帰郷編」
café TATIの夜の顔?月に一度の夜営業「café SALVADOR」のご紹介はこちらから
café TATI sweetsさん、月に一度の「café SALVADOR」に行ってきました!
店舗情報

住所:静岡県伊東市渚町2-6 (Mapで見る)
定休:月曜定休日(月に1度連休有)
営業時間:11:30~18:30
ランチメニューは15:00まで
駐車場:あり(5台)
2000円以上のご利用で隣接する市営大川橋駐車場のチケット1時間分お出しします。
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